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ひげさん

足の治療の帰り、きのうおった傘の代わりを買おうとリサイクルショップへ。


行ってはみたが、値段を貼ってなくて、これいくらと聞くのもばつが悪く、なにも買わずに帰る。


帰る途中、ひげさんと会い、10分ぐらい話をする。


ひげさんは去年の歳の暮れに、バイク事故を起こし、おれと同時期に、同じ病棟に入院してた人だ。


偶然会った俳句の先生と知り合いらしく、一緒にお見舞いに行った。


[その後いかがですか?」


[事故起こしてから4日間、なにも憶えとらんとよ」


「じゃあ、おれが名越先生と病室へ行ったことも憶えてないんですか?」


「おぼえとらん」


あの時おれは泣きながら、作った俳句を名越先生に読んでもらった。


あとで心配になり、デイケアまではがきで出した。


「わすれてたのか」


そう言えばおれも退院して7年目だが、人に会うと[憶えとい?]と聞かれる。


だいたいは憶えているが、憶えてない人もいる。


人間の記憶なんてそんなものだろうなぁ―と思う。


免許は残っているがもう乗ってないと言う。


「おれもしょうがなく歩いてますけど、歩くのがいいみたいですね」


二人は別れる。


帰りがけ、朝の俳句をすいこうする。


汁の実に


雨後のたけんこ


2本かぎ  ひろいき

 

あめ

背を競う 


雨後のたけのこ


ポキと折り  ひろいき


背を競うように生えている、雨後のたけのこ。


そのたけのこを、朝の汁の実にと、無慈悲にとって行く。